山里に暮らす

山里に移り住み、日本の原風景の中で自然や地元の人たちとの共生を楽しむ家族の記録です。

銃とナイフのメンテナンス

 狩猟から帰ると人間も銃も泥にまみれています。お風呂に入り着替えたら、早速、銃のメンテナンスです。なにせ鉄でできていますから、もたもたしていたらすぐに錆びてきます。

 銃身の先から銃床まで泥だらけ。木の枝や笹が挟まっていることもしばしば。まずは絞ったタオルで泥汚れを隅々まで落とします。その後、分解して銃身の内側や機関部についた煤や鉛を落とします。

 銃身の内側はWD-40を吹いてから洗い矢の先に真鍮ブラシが付いたものを何度も入れて掃除します。最後は洗い矢の先に白い布を取り付けたものを数回通して拭き上げます。スラッグ弾を使用すると、わずか数発撃っただけでも写真のように銃身内が汚れます。機関部もWD-40を吹き、柔らかいウエスでキレイに掃除します。銃外側の金属部分も同様にWD-40を吹き、柔らかいウエスで拭き上げます。銃床や先台などの木部には木が柔らかくなってしまわないように、オイル系のものがかからないようにします。

 銃を元通り組み立てたら、引き金の部分もWD-40を吹いたウエスで拭き上げ、その後は次に使用するまでできるだけ金属部に触れないようにします。人間の手が触れた部分から錆びてきます。これで銃のメンテナンスは終了。次はナイフです。血や脂が付いたナイフとシースは中性洗剤できれいに洗います。その後、中目の砥石で刃の両面を20回ずつ研ぎ、最後に返りを取ります。

 私は2千円のモーラナイフ1本で止め差しから解体までやっています。毎回使用後にきちんと研いでいると、鹿1頭なら十分に解体できます。このナイフは柄もシースもラバー製で、洗いやすくいつも清潔です。そして何より驚くほどよく切れます。
 狩猟している時間も楽しいですが、こうして一つ一つの道具をメンテナンスしている時間も、また楽しいひと時です。

今季3日目出猟。雌鹿1頭捕獲。

 昨日、今季3日目の出猟。一日中、山にいました。とは言うものの地元の山なので、自宅にお昼を食べに戻り、一服するという気軽さですが・・・。
 午前中は猟果が無く、午後になって隣村の山に入っていくと、中腹あたりから稜線にかけて、台風の被害と思われる倒木があたり一面に。前進するのもやっとです。


 稜線のすぐ下あたりを歩き続けると、小高い木の下の窪んだあたりに、いかにも鹿の根城ですという感じの場所が。あたりには足跡が多数。この場所からは周囲が良く見渡せ、警戒心の強い鹿が好みそうな感じ。

(根城らしき場所からは写真のように周囲が見渡せます)


 写真の途中で折れた木の左端の陰に隠れ、小雨降る中を待つこと3時間半。すると例によってペキッパキッという枝を踏むような音が、ちょうどこの写真のカメラ位置の裏側から聞こえてきました。ゆっくり、そっとレミントンM870にスラッグ弾を込めます。しかし、足音が徐々に遠ざかっていく気配。あらら・・・と思っていたら、約5分後、カメラ位置の裏の稜線からひょっこりと雌の鹿が顔を出してこちらを見ています。鹿は色が判別できないので、木の陰にじっとして息をひそめていたら、鹿の視界に自分が入っていても気づかれません。木の陰からゆっくりと狙いを定め、鹿の上体が稜線から出てくるのを待ちます。1歩、2歩、鹿が前進してくるに従い体が見えてきます。すると突然、鹿がひょこひょこと勢いよく稜線上に登り切ってきました。その距離約15m。首に狙いを定め、そっと引き金を絞ります。パン!鹿が前に崩れました。今回は1発で仕留めました。
 ですが、ここからが大変です。この大きな雌鹿を連れて倒木の中を下らなければなりません。しかも今日はロープを家に忘れてきてしまいました。後ろ足二本を手で引っ張りながら少しずつ少しずつ下っていきます。登り30分、下り1時間半。麓まで下りたら、もう薄暗くなりかけていました。

 長距離を引きずり回したせいで鹿も傷だらけです。この後解体しましたが、お肉はきれいなままで一安心。命に感謝の一日でした。

昨日も出猟。雌鹿1頭捕獲。

 昨日は午前中時間が出来たので、様子見がてら歩いて行ける距離の近くの山に入りました。中腹まで登っていくと、まだ新しい鹿の糞や足跡が。立木と同化して待つこと約20分。ペキッ、パキッという枝の折れる音が。さらにガサッガサッとしう落ち葉を踏む音も。しばらくすると約30m前方から大型の雌鹿が姿を現しました。
 ゆっくり、静かに薬室に1発、弾倉に2発の実包を装填します。私の銃はレミントンM870というスライドアクション式。一般によく使われている自動銃だと実包装填時に大きな音がしますが、スライドアクション式だと、手作業で装填を行うため、静かに作業を行うことができ、このような時に重宝します。
 ゆっくりと慎重に狙いをつけ、指を引き金に。そして発砲!
 一発目は見事に外してしまいました。すぐに反転して逃走の体制に入る鹿。すかさず二の矢を放つ私。今度は右足の付け根に命中。後ろ向きに崩れるように勾配を落下していきました。私も鹿が落下した方向に駆け下りていきます。すると沼地に半分埋まるようにしてもがいています。この辺りは今は竹や笹、茨が生い茂り、容易に人が近づけない場所と化していますが、昔は田んぼだったようで、足元はぬかるんでいます。ひざまでの泥に足を取られながら、何とかシカのところまで辿り着き、最後はナイフで止め差しを行いました。
 その後は泥に足を取られながら、笹と茨の中を傷だらけになって大きな鹿を30分以上かけて林道まで運びました。出猟2日目にして今季の初猟果。私としては上出来かな。