山里に暮らす

山里に移り住み、日本の原風景の中で自然や地元の人たちとの共生を楽しむ家族の記録です。

日の出すぐに雌鹿ゲット

 一昨日、銃を携えて一人で猟場をぶらついていたら、偶然にも猟友会の先輩ハンターに出会い、鹿笛を雌鹿の鳴き声風に吹く方法を、その場で教えてもらいました。


 今まで鹿笛は雄鹿のラッティングコールのように大音量で思い切り吹くことしか知らなかった私は、鹿笛猟での獲物はすべて雄鹿ばかりでした。ですが、鹿も牛と同じで雌のお肉の方が柔らかく、料理の幅も広い。そこでどうしたものかと、実は悩んでいたのです。


 今日は日の出前から山に入り、教えてもらった通りに、小さく、か細く、短く雌鹿の鳴き声風に鹿笛を2回。そして足元の枯葉や枯れ枝をわざと音を立てるように踏み鳴らします。


 待つこと5分。地面に落ちた枯れ枝が折れるパキッと言う音とともに枯葉を踏む音が。スラッグ弾3発をショットガンにそっと装填します。レミントンM870はスライドアクション式なので、こういう時、できるだけ音をたてないように、静かに装填できるので気に入っています。以前は自動銃を使っていましたが、装填時に「ガチャッ!」という大きな音が響き渡っていましたから。


 立木の前に立ち、息を殺して木と同化します。鹿や猪は猿などの霊長類と違い、オレンジや赤などと、緑色の判別ができません。頭の輪郭が見える位置にいたり、動いたりしない限り、よほど接近しなければこちらが気づかれることはありません。
 4本脚の何かが接近してくる気配が、だんだんと強くなります。ゆっくりとそちらの方向に注意を集中して待ちます。すると約15m先にある台風で傾いていた杉の木の下をくぐって、そっと雌の鹿が顔を出してきました。背後の立ち木と鹿を結ぶラインに沿ってそっと銃を構え、鹿の上半身に狙いをつけます。
 鹿が数歩前進し、後ろ脚とお尻以外のほぼ全身が見えてきました。何かがあると感じているのか、立ち止まってこちらを見ています。ですが、人間であるとは判断しかねている様子。風もこちらが風下です。
 ほぼ真正面から鹿の首を狙い、息を大きく吸った後、半分吐いて止め、そっと引き金を絞ります。


 「パアーン!」


 鹿がその場に崩れました。今回は1発です。ゆっくりと近づいてみると、まだ後ろ足で弱弱しく宙を蹴ろうとしています。しかし、その動作も3~4回だけでした。
 弾は左目から入って、頭部を砕いていました。狙ったのは首でしたが・・・



 私にとっては10頭ぶりの雌鹿です。教えていただいた鹿笛の吹き方で早速結果を出すことが出来ました。お陰様で、美味しい雌鹿のお肉にありつくことが出来ます。今日も命に感謝です。